七夕を経て、さらに夏を感じるようになり、7月10日に観に行った映画でますます夏の気分に浸っております。
観たのは、フィンランドのマリヤッタ・クレンニエミによる児童文学原作の、小さな二人の女の子オンネリとアンネリの物語を映画にした作品です。
映画中も、二人の少女の庭で薔薇が咲き誇る夏です。
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【オンネリとアンネリのおうち】
サーラ・カンテル監督/フィンランド/2014
上の画像右下にいる、オッドアイの猫ちゃんも可愛いかった。
ハンモックで眠るのが子供の頃の夢だったのを思い出しました。(未だ叶わず。。)
このシリーズはすでに3作製作されているようで、日本でも冬に続編が公開予定となっています。
ひたすら可愛くてカラフルで、永遠にここにいたと思ってしまう美しい優しい世界。
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<原作>
少女も、少女の心を持ち続ける大人も、この街に住みたくなってしまう!
<ストーリー>
9人兄弟真ん中のオンネリと、離婚したお父さんとお母さんの間を行ったり来たりの生活を送るアンネリ。
仲良し少女二人は、忙しすぎる両親にちゃんと気にかけてもらえているのかよくわからない…という気持ちを持っている。
ある日、“正直者にあげます”と書かれた手紙とお金の入った封筒を拾って、”薔薇の木夫人”と名乗る老婦人から、素敵な水色のお家を買って、二人だけで住むことに。
その家には、二人にぴったりな素敵な服やアクセサリー、可愛い小鳥、キュートな家具やお菓子など、素敵な生活ができるものが沢山用意されていた!
二人の家の住所は、”薔薇通り2番地”。
不思議な植物の庭を持ち魔法が使える陽気なおばさん姉妹、姉妹とは逆に気難しい女性が隣に住んでいて、少しずつ交流しながら、二人はワクワク楽しい生活を送る。
ところがある日、お隣の姉妹と気むずかしい女性の双方の家に泥棒が入るという事件が起こる。
◆右が薔薇の木夫人。二人の服がいつも色違いのお揃いで、全部が可愛い!
◆オンネリの持つ花柄のトンカチがやたらと可愛い。
◆きれいな絵の描かれたブタの貯金箱は、実は気難しいお隣さんのとても大切なもの。
◆二人のおうちのドールハウス!!もっとディテールを映画中でも見たかった。。
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◆拾ったお金を届けに行った時に対応した、気の良い警官のリキネンは絵が趣味。
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◆お姫様ベッドのあるお部屋。二人をモデルにしたようなお人形が2体ソファに。
◆小鳥が出迎えるリヴィング。台所では二人がワッフルを焼いてました。
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◆映画のパンフレット。可愛いサイズ。ミューイちゃんが欲しいというので、それが後押しになって買いました(笑)
カップルも買ってたのが微笑ましい。
<キャスト>
監督・脚本:サーラ・カンテル SAARA CANTELL「星の見える家で」
出演
アーヴァ・メリカント(オンネリ)
リリヤ・レフト(アンネリ)
エイヤ・アフヴォ(薔薇の木夫人)
ヤッコ・サアリルアマ(リキネン(警官)
ヨハンナ・アフ・シュルテン(ウメ・ボーシュ(お隣さん)
エリナ・クニヒティラ(ノッポティーナ(お隣姉妹)
キティ・コッコネン(プクティーナ(お隣姉妹)
脚本:サミ・ケスキ=ヴァハラ SAMI KESKI-VÄHÄLÄ「旅人は夢を奏でる」
製作:テーア・フーテア TEEA HYYTIÄ、サリ・レンピアイネン SARI LEMPIÄINEN
撮影:マリタ・ヘルフォルス MARITA HÄLLFORS「星の見える家で」
衣装:アウリ・トゥルティアイネン AULI TURTIAINEN
音楽:アンナ・マリ・カハラ ANNA-MARI KÄHÄRÄ
編集:アンネ・ラカネン ANNE LAKANEN
<ちょっとだけネタバレな感想>
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『こうだったらいいのになあ!とっても素敵なのになあ!』(しかし現実はそうもいかない)という少女たちの夢、またはかつてそういった願望を持った女性たちの期待をことごとく裏切らないという徹底した世界観がとにかく好きです。
ひたすら幸せに包まれる。
この映画を鑑賞するのに、「こんな都合の良いことありえない」「少女たちもすぐに大きくなって、恋人ができたらもうこんな生活しないよね」とか、そういうことはもう一切考えずにひたすらこの世界に没頭するのがいいです。ここまで徹底してくれる映画ってそうそうないので、四の五の言ってはもったいないのです。
薔薇の木通りの薔薇の木夫人が、二人にあつらえたとしか思えない、キュートな生活が詰まったおうちをスクリーンで堪能するのです。
わたし的には、二人の少女に負けないほどカラフルな花々を思わせるファッションのお隣姉妹のお庭がかなり魅力的です。
キラキラ緑のビーズの入ったエンドウ豆、薔薇の絵を高い空で描く花火草、もっと詳しく見たかったな。
そして、誰も悪い人がいないし、誰も悲しむことが起こらない。これも「ありえない」と考えないで。
毎日スロットマシーンでお金を擦っては、孫に50ユーロをせびるお祖母さんの為にお金に困り、泥棒をしてしまうアイスクリーム屋のお兄さんも悪者ではないし、つかまっても罰を受けずに、ヴァニラ以外のフレーバーを開発することで許され、悪事の根源となった(笑)お祖母さんも、「生産性のないスロット」を止めて、新フレーバー開発に喜びを見出します。
亡き夫の大事な形見(夫がきれいな絵を描いたブタの貯金箱)を壊されたお隣の女性も、しかし同時に新たなロマンスを見つけ(新たにブタの貯金箱に絵を描いてくれる人)、幸せを得ます。
「こんな優しい世界がある訳ない」と思わずに、一時でも良いからそこに浸る
ところで、この映画を観ていると、当たり前ではありますが、子供達の感覚も、子供達に対する大人の態度や感覚も、日本とまるで違うことに気づくと思います。いろいろツッコミポイントもあるとは思うけど、そこは置いておきましょう(笑)。
少女(7歳)は自立した精神を持っているし、大人は無駄に子供扱いをしません。でも守るべき場面ではもちろん守る。
子供に対して、妙に子供扱いした変な口調や態度をしている様子が、私は苦手です。子供も一人の人間だと思っているので、尊重したいし、対等に話したい。
そういったところも素敵だな、と思いました。
そして、監督が「このユーモラスな物語の根底には、親たちが子供のためにじゅうぶんな時間を持つこと ができない、という深刻なテーマがあります。ふたりの女の子オンネリとアンネリは、ふたりの両親にとって、ほとんど目に見えない存在なのです。」と語るように、楽しい夢のような生活の冒頭にはこういった環境が表れているのです。
でも、この映画の魔法で、最後にオンネリとアンネリが開くパーティに招かれた母親たちは「あなたのことを愛しているのよ」と、二人暮らしをする前ではなかなか聞けなかったであろう言葉を引き出すことができたのも、さりげなく素敵ポイントの一つだと感じました。
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私は恵比寿ガーデンシネマで観ましたが、6月初めからもう上映が始まっているので、終わりの頃かも?
まだ上映しているようなので、気になった方はぜひご覧になってくださいね。
冬の続編も楽しみです♪
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