法悦のマグダラのマリア ~カラヴァッジョ展
国立西洋美術館にて、日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展 を観てきました。
元々カラヴァッジョは好きなのですが、今回『法悦のマグダラのマリア』の存在を知ったら、
ぜひ観なくては!となりました。(FBで流れてきた画像を見たら、どうにも気になって仕方なくなった)
会期の近いボッティチェリは、行こうとした日にナイトツアーがぶつかりそうと気づき(ぶつかったら嫌なので)見送り、
予定を変更して、早々に行ってきました。
『法悦のマグダラのマリア』
この絵は、カラヴァッジョが殺人を犯し逃亡中の1606年に描いた絵らしいが、長いこと原画が行方不明。
カラヴァッジョの作品と認定されたのは、なんとごく近年の2014年!
しかしその後も限られた人しか見られなかったらしい。
そんな絵が本国イタリアでなく、日本で世界初公開!
不思議な空気を醸すこの作品。
絵のある付近を異空間に感じさせるほど。
絵の中のマリアからは、なんとも不思議な女性性的なエネルギーを感じ、とにかくそれに浸りました。
紹介画像を見てからこの原画を観たのですが、実際に観て確信に変わる。
日本の巫女が神託を受けてる場面にしか見えない。
カラヴァッジョの他の作品と全くかけ離れた異質さ。
背景は特に描き込まれてないけれど、日本の夜明け前のような感じ。
服も不思議で、日本の巫女の装束のように見える。
アーティストの友人は、「幽霊画のような湿度と迫力がある」と言っていて、適格な表現に感心。
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参考:他カラヴァッジョ作品
果物籠を持つ少年
バッカス
これもアジアな雰囲気があって不思議な作品。バッカスが仏陀のように見えるオリエンタルな雰囲気があります。
話は戻り、この絵は恩赦を求める為に、当時の教皇の甥であるボルゲーゼ枢機卿に捧げる為に描かれたそうだけど、それにこの絵を描くだろうか?とも思える。
モチーフのマグダラのマリアは、悔悛のシンボルではあるけれど、恩赦を目的にする作品と考えても、絵の趣が異様。
(マグダラのマリアは、美術史上ではそういったテーマに使われる。教会は、娼婦ではないどころかキリストの一番弟子であったマグダラのマリアを長いこと「娼婦」に貶めてきた。しかし、教会も近年になって、マグダラのマリアを重要な聖人として認めています)
何かがカラヴァッジョに降りてきて、描かせたのでは?とさえ思えます。
という感想はさておき、何も考えずとも神秘光線を発するこの作品、何度も観てしまいました。
ちょくちょく来るかはわからないので、気になったら観に行くといいと思います。
展示全体的には、カラヴァッジョとその影響を受けた画家作品で統一されて、バランスも良く、良い展示ではないかと思います。
ただ、光と闇のコントラストという面では、個人的にはフランドル絵画の方が好みだということがわかりました。
オランダ、もしくはその影響を受けたと思われるフランス絵画の方がコントラストがより強く透明感がある。
静物画に置いてもそれを感じました。
好みの問題なので、どちらが良いかは関係ないのですが。
追加情報としては、物販コーナーにポルチーニやベジタブル、ペッシェ(魚)ブイヨンがあります!
迷いましたが、ポルチーニブイヨンとペッシェブイヨン(鱈のブイヨン)、そして展示記念のマスキングテープを購入しました。
参考:
ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョは、西洋美術史上最も偉大な芸術家のひとりであり、イタリアが誇る大画家だ。彼の理想化を拒むリアリズムや、劇的な明暗法によって浮かび出る人物表現は、バロックという新時代の美術を開花させる原動力となった。そして彼の画法はイタリアのみならず、ヨーロッパ中からやってきた画家たちによって熱狂的に継承され、その影響はルーベンスやラ・トゥール、レンブラントなど、17世紀の数多くの画家たちに及んでいる。
本展では、カラヴァッジョが死ぬ間際に携えていた3点の絵画のうちの1点とされる『法悦のマグダラのマリア』を世界初公開。
カラヴァッジョが殺人を犯してローマを逃亡し、近郊の町で身を隠していた1606年の夏に描かれものとされている作品だ。
また、イタリアの代表的な美術館などが所蔵する日本初公開作品『バッカス』を含む名作約10点と、彼の影響を受けた各国の代表的な継承者たちによる作品を合わせた50数点を展示。裁判や暴力沙汰といった彼の生涯をしばしば波立たせた出来事を記録した古文書など、同時代史料も併せて出品し、カラヴァッジョの人生と芸術両面におけるドラマを紹介する。
会場は、彼を読み解くキーワード「風俗」「五感」「光」「斬首」ごとに構成。カラヴァッジョの作品をカラヴァジェスキ(継承者たち)の作品と共に紹介し、彼の芸術の何が画家たちを惹きつけたのか、その秘密を探る。
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